「ティナ!!」
呼びかけた声を無視して、ティナは自分の部屋へと戻ってしまう
(やっぱり、さっきのがまずかったのか…)
*
それは、ついさっきの事
ロックとティナ、リルムの三人は買出しに出かけていた
その帰りの事だ
ティナとリルムは別の用事があったため、ロックは一人で宿に戻る事になった
その途中、考え事をしていたせいかロックは一人の女性とぶつかってしまったのだ
その人に謝っているところをリルムに見つかってしまい
余計な事を言われたせいでティナに避けられているという訳だ
(目も合わせてくれないしな…)
しかたないのでとりあえず、下に下りる事にする
*
「はぁ……」
一階の椅子に腰を下ろして溜息をついていた時…
「どうしたんだ、ロック?」
一番会いたくない奴に声をかけられる
「なんだよ、エドガー」
機嫌悪く言い返す
そうするとそいつ…エドガーは予想通りの返事を返してくる
「こっちが質問してるんだ、そう機嫌悪くすることはないだろう?」
「うるせぇ…用が無いんなら、向こう行けよ」
「…ティナにでもふられたか?」
こっちが機嫌悪いのを知ってるくせに、ニヤニヤしながら見てくる顔がむかつくから殴ろうかとも思ったが、何を言われるか分からない
「だまれ」
「じゃあ、どうしてそんなに機嫌が悪いんだ?」
相変わらず、ニヤニヤしながら聞いてくる
「お前には関係ないだろ」
「…ふむ…ならばティナにでも聞くとするか」
「なっ…」
まずい…!
それだけはまずい!!
こいつなら何をするか分からない!!!
「待てよ、エドガー!!」
二階へ上がろうとするエドガーを急いで引き止める
「なにかな?」
わざとらしい話し方がむかついたが、そうも言ってられない
「別に、ティナに聞かなくたっていいだろ?」
「お前が話したくないんなら仕方ないだろう?」
…負けた
理由を話さなければ、ティナがどうなるか分からない
「分かった…話せばいいんだろ…」
*
そうして、理由を話す事約10分…
理由を話してみると、案の定、エドガーは笑いながら話してくる
「そりゃあ、お前が悪い」
「何でだよ」
「誤解されるような事をしたんだろ?」
「だからしてねぇって!!! リルムが勝手に…」
ロックが言葉を切ったのは階段を下りてくる少女を見たからだ
少女…ティナはロックを見るとすぐに外に出てしまった
「あーあ…どうする気だ?」
「何がだよ」
「ティナの事だ 今の時間は危険だぞ?」
時計を見てみると、時計の針は8時を指していた
確かに、女子供が一人歩きするには危険な時間だ
「…………」
「行かないのか?」
そう言うのは口だけで、顔にはいかにも"楽しんでいます"と書かれていた
「…帰ってきたら覚えてろよ」
そう言うと同時に、宿を飛び出す
残されたエドガーは一人で呟いた
「まだまだ、青いな…」
*
「ティナ!!!」
自分の先を行く少女を急いで引き止める
しかしティナはこちらを見ると慌てて走り出し、逃げようとする
「待てって!!!」
ロックはティナの腕をつかみ抱き寄せた
「ごめん…」
ロックはそう呟くと、ティナをさらに強く抱きしめた
「ロック、苦しい…」
そう言われ、ようやく腕の中の少女を解放する
「悪い…」
しばし沈黙が訪れる
沈黙を破ったのはティナだった
「あの…ごめんなさい…」
「え…?」
いきなり謝られ、何を言っていいのか分からず目の前の少女を見る
「ロックが声をかけたの…無視しちゃったから…」
「あ……」
「謝ろうとしてくれてたの…分かってたのに…」
内容を聞いてほっとする
彼女なりに責任を感じているのだろうが、そんなのはどうでもよかった
今回悪いのは自分だったから
「気にしなくていいさ 俺も怒ってたとかじゃないし」
「でも……」
まだ何か言おうとするティナを強引に黙らせ、もう一度少女の体を抱き寄せる
「俺の方こそ、悪かった……ごめんな」
照れくさそうに言うロックを見上げて、先ほどまで顔を赤くしていたティナは不思議そうに言う
「どうしてロックが謝るの? ロックは悪くないんでしょう?」
「あー…そうじゃなくて…それもあるんだけど…」
自分を抱きしめながら口籠る青年を見上げながら、ティナはさらに首を傾げる
「まぁ…その話はまた今度な とりあえず、宿に戻ろう」
そう言いながら、ロックは歩き始め、その後をティナも急いで追いかける
~あとがき~
自サイトでのお題のもの(えぇ)
完成したので投稿させて頂きました(争奪戦…)
またしてもエドガー兄さんがキューピット…
良いとことりすぎだぜ兄貴ぃぃ!!!!(何だよ!!)
注目すべきは、最後の方強引に黙らせ の部分です(笑)
強引に…強引に…ん? 強引に???
という感じで(どんな感じだ)心の叫びは
えぇぇーーーーー!!?
何をしたんだヘタレ!!!!!!
でした(笑)
何故ティナの顔が赤いかはご想像にお任せします(マテ)
最後が微妙だな…(ぇ)
自サイトの方では、ティナ編みたいなのを書こうと思っております(笑)