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「君への想い」 4

甲板で一人、ティナはため息をついていた。

「どうしよう…」

―怖い。怖いのだ。

自分を救い出してくれたロック。
自分の始まりをくれたロック。

感謝してもしきれないぐらいなのに、そのロックが
今は怖くてたまらない。

「どうして怖がるの…?」

この一週間、繰り返し自分に問いかけた。

―抱きしめられたから?
―キスされたから?

違う違う違う。そんなの全然怖くない。

確かにあの時はちょっと怖かったけど、でもその後『あげる』と言った
気持ちはウソじゃない。ロックが笑ってくれるなら、もう悲しまないのなら、
私は何だってできると思ったから。

もしあの時のロックに怖いものがあったとすれば、それはむしろ
あの瞳。あの真剣な眼差し。

思い出すだけで震えが止まらなくなる程、怖い。


大事にしようと思っていたのに。
誰より幸せであってほしいと、心から願っていたのに。

逃げ回る自分が情けなくて嫌になる。

『――幸せなことよ…?』


突然誰かの声が聞こえた気がして、驚いて辺りを見回した。
相変わらず人気のない甲板。誰かがいる気配など、全くない。

「…何だったのかしら?」

不思議に思ったけれど、不気味ではなかった。
少しカタリーナの声に似ていた気がする。
ディーンとキスしていたと子供達に騒がれて、真っ赤になりながら、
それでも幸せそうだったカタリーナの姿が目に浮かんだ。


―もしかして、不甲斐ない私を心配してテレパシーを送ってくれたのかしら?

そう思うとなんだか嬉しくなって一人でクスクス笑っていると、後ろから
自分を呼ぶ声が聞こえた。

今一番聞きたくない、でも世界で一番聞きたい、優しい声が。


<あとがき>

短っ!こんな短さは初かもしれない。
短けりゃ短いなりの疑問を持つもんですなあ。嬉しいけど、ちょっと複雑。
二人がラブラブになるまで、もうしばらくお待ち下さい。

Title
「君への想い」 4
Posted
2007/09/13
Category
ロクティナ・長編::★「君への想い」 チョコ

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