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「君への想い」 5

「ティナ!」

俺は飛行艇へ戻ると、すぐにティナの所へ向かった。
ティナの居場所なんて分かっている。

人気のない甲板に出ると、目指す相手はすぐに見つかった。

「ティナ!」

もう一度叫ぶと、ティナは振り向くや否やすぐに逃げ出そうとした。
本当に、腹が立つほど予想通りの反応。


―逃がさない。


そう思った瞬間、どういう訳か何もない所でティナは転んだ。
下は階段だ。

「危ないっ!」

ティナの所へ駆け寄ろうとしたほんの一瞬、過去の映像がフラッシュバックした。
浮かんだのは、ゆっくりゆっくり落ちていくレイチェルの姿。

―レイチェル…

俺は唇を噛む。

―守ってあげられなくて、ごめん。

だけどまた、守りたいと思う人が現れてくれたんだ。
この気持ちはゆずれないから。

レイチェルの残像を通り越して、俺はティナの手をつかむ。

ゆずれないんだ、この想いは。
ティナが好きなんだ。どうしても。


「ティナ…」
力いっぱい、ティナを抱きしめた。


君の笑顔が救いだったんだ。

選ばれなくていい。
好きになってくれなくていい。
君がそばで笑っていてくれるなら、俺は何だってするから。


その為ならこの想い


「…なかった事にしてくれて、いいから」

ティナの体を離すと、ニッコリ笑って俺は言った。
上手く笑えたかどうか、自信はないけど。

「この前の事、なかった事にして欲しいんだ」

臆病だとか卑怯だとか、言いたい奴は言えばいい。
俺にとって今、一番大事なのはそんな事じゃないから。


「だからティナ、君は笑ってて」

どうか今はそばにいて。
未来を夢見させて。


過去を乗り越える強さをくれた、君の笑顔を守らせて。


<あとがき>

4が短かったからって訳でもないのですが、3連休前にどーしてもここまでは
進めておきたかったので連続アップ。
私の中では最大限にがんばったロックです!
目指せラブラブ~

Title
「君への想い」 5
Posted
2007/09/13
Category
ロクティナ・長編::★「君への想い」 チョコ

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