「ティナ!」
俺は飛行艇へ戻ると、すぐにティナの所へ向かった。
ティナの居場所なんて分かっている。
人気のない甲板に出ると、目指す相手はすぐに見つかった。
「ティナ!」
もう一度叫ぶと、ティナは振り向くや否やすぐに逃げ出そうとした。
本当に、腹が立つほど予想通りの反応。
―逃がさない。
そう思った瞬間、どういう訳か何もない所でティナは転んだ。
下は階段だ。
「危ないっ!」
ティナの所へ駆け寄ろうとしたほんの一瞬、過去の映像がフラッシュバックした。
浮かんだのは、ゆっくりゆっくり落ちていくレイチェルの姿。
―レイチェル…
俺は唇を噛む。
―守ってあげられなくて、ごめん。
だけどまた、守りたいと思う人が現れてくれたんだ。
この気持ちはゆずれないから。
レイチェルの残像を通り越して、俺はティナの手をつかむ。
ゆずれないんだ、この想いは。
ティナが好きなんだ。どうしても。
「ティナ…」
力いっぱい、ティナを抱きしめた。
君の笑顔が救いだったんだ。
選ばれなくていい。
好きになってくれなくていい。
君がそばで笑っていてくれるなら、俺は何だってするから。
その為ならこの想い
「…なかった事にしてくれて、いいから」
ティナの体を離すと、ニッコリ笑って俺は言った。
上手く笑えたかどうか、自信はないけど。
「この前の事、なかった事にして欲しいんだ」
臆病だとか卑怯だとか、言いたい奴は言えばいい。
俺にとって今、一番大事なのはそんな事じゃないから。
「だからティナ、君は笑ってて」
どうか今はそばにいて。
未来を夢見させて。
過去を乗り越える強さをくれた、君の笑顔を守らせて。
<あとがき>
4が短かったからって訳でもないのですが、3連休前にどーしてもここまでは
進めておきたかったので連続アップ。
私の中では最大限にがんばったロックです!
目指せラブラブ~