初めてティナに出会った日のことを、俺は今も鮮明に覚えている。
光の差さない洞窟の奥深く、暗闇の中で一人倒れていた姿があまりにも
寂しそうで痛々しくて。
生きようと必死にもがいた泥まみれの姿が、あまりにも健気で。
とても尊く見えたから。
『光』をあげたかったんだ。笑った顔が見たかった。
その笑顔がどれほど重いものか、知りもせずに。
「…逃げてたんじゃないよ」
ティナが驚いたようにこちらを見上げた。
「ティナは逃げてたんじゃない、戦ってたんだ。ティナを連れ去ろうとする闇か
ら、
たった一人で」
俺を救ってくれた君の笑顔。その裏に、君はどれ程の苦しみを
飲み込んでいたんだろう?
『守る』と言った自分の言葉が頭をよぎった。
「ごめん…」
謝ってばかりでごめん。
だけど、そんな俺が君に言えることはただ一つ。
「でもティナ、一人で強くなんてなれないよ」
「‥え?」
「そんなのは強さじゃない。強がりだ。俺はそれを、ある人から教えてもらった
よ」
そう言うと、光の向こうにレイチェルがまた現れた。
俺をいつも許してくれた、優しい微笑み。
―ああ、そうか…
ティナを抱きしめる。
―レイチェル、君はこんなにも俺の中にいた。
君が教えてくれたぬくもりを胸に、俺はティナを守るけど。
いいよな?許してくれるよな?
この謝罪と感謝の想いは、きっと君に届くと信じているから。
「…好きだよ」
ティナの瞳をひたりと見据えて、想いを告げた。
もう後ろは振り向かない。
「力不足かもしれないけど、それでも精一杯にティナを守るから。だから、
俺と一緒にいてくれないか?ティナのことを、とても大事に思うから」
涙に濡れるティナの頬にそっと手をやると、フワリとティナが微笑んだ。
一週間ぶりに見る、ティナの笑顔。
「まあ、俺と一緒にいたら色々大変かもしれないけど…」
笑顔につられて苦笑しながらそう言うと、ティナが泣き笑いの顔になって
言った。
「ねえ、ロック。私、今回の件で気づいたことが1つあるの」
「ん?」
「私はね、ロックの為ならなんだって出来るのよ。ロックがそばにいてくれたら
、どんな
ロックだって、どんな自分だって受け入れてみせる。愛するって、そういう事で
しょ?」
「ティナ…」
「私もロックと一緒にいたい」
ロックはそれを聞くと、サッと顔を赤らめた。
それからニッコリ微笑むと、ティナの顔を両手で包み込む。
そしてティナの瞳を優しく閉じさせると、その唇にそっとキスを落とした。
「愛してるよ…」
一瞬だけ離れた唇でそう言うと、再びティナにキスをして。
これから先の、未来を誓った。
これからもきっと、いろんな事があるんだろうけど。
二人が誓う想いは同じ。
二人で、乗り越えていけたらいいね。
二人で、幸せになっていけたらいいね。
二人で、幸せになろうね――――
<あとがき>
やあっっとくっついたーーーーーーっ
一時はどうなるかと思いました(涙)
まあ、どうにかこうにかなんとかかんとかぬけぬけしゃあしゃあ
くっついたから良かった!!
しかしラブラブを目指してこれか?
別にいいけど(いや良くないけど)これか?
…違う話でリベンジします。すみません。。
ここまで長々と読んで頂き、本当にありがとうございました!