「ところで…ロックと娘さんは元気?」
「ええ。今日は朝から張り切ってたわ。
お弁当も自分たちだけで作ってっちゃったの。
貴方の娘さんはどう?」
「相変わらず。
…けど最近夫と言葉遣いが似てきて困ってるの。
きつく叱ってるんだけど、どうしても直らなくてね…」
奥方さまのトーキングタイムですか。
それにしてもドアの鍵穴から見える金色の髪をしたあの綺麗なセリスさんとかいう女の人の娘さんってどんな子なんだろう?
お母さんがアレだけの美人なら娘さんもそりゃあ可愛いんだろうな~、羨ましい。
それにあの格好…
決して派手ではないけど、素材はいかにも高そうな絹をした服を着ている。
きっとシドールか何処かの金持ちの町に住んでる人の奥さんなんだ。
「この前貴方の話をしたら家の娘がうるさく言うようになったの。
『その人の娘に会いたい!』ってね。」
「きっと私の娘も同じ事考えてるわよ。」
全くだ。
私はそう思うと誰もいないドアの向こうで首を縦に振った。
「さて…そろそろ行くわ。」
セリスさんはしばらく話すと席を立った。
「また今度会いに来るかもしれないけど、そのときはよろしくね。」
「喜んで。今度は娘さんも連れて来てね。」
「ええ。
…あの父親譲りの下品な言葉遣いを直したら。」
最後は苦い顔をして言い放ったセリスさん。
そんなに旦那さんの言葉遣いが悪いのかと思ってしまう。
そして、娘さんの言葉遣いも…
「じゃあね。出産、頑張ってね。
困ったときはいつでも呼んで。」
そういうとセリスさんはドアから外へ出て行ってしまった。
聞き耳を立てていたことを知られたくなかった私は近くに生えていた木に身を隠した。
セリスさんの姿が見えなくなったのを確認すると、私は家の中に入った。
「あら、お帰りなさい。
残念ね…もう少し早く帰ってきてたら母さんのお友達に会えたのに…。」
「ええっ!そんなぁ~!!」
わざと大げさな演技でごまかす。
「?ところでパパは?」
「もうちょっと山頂の景色を見るって。」
「ふふ…パパらしいわね。」
そういうとママは大きくなったお腹をさすりながら夕飯の支度をした。
「……ねぇ、ママ。」
「?どうしたの?そんな顔をして。」
「きっとママのことだから、あんまり答えたくないと思うんだけれど…」
パパが分からないと言ったその質問をした。
「どうしてママはモブリスの村の子供たちを残してパパについて行ったの?」
「…それはね。」
母さんは少し考えてから、話してくれた。
(あとがき)
すみません、朝から嘘つきました…。
「どうしてティナはモブリスの村を離れたのか」
書いてないですね、理由。
本当にごめんなさい!
書こうと思ったんですがなんか長ったらしくなりそうだったんで次回書かせていただきます…。
そしてセリスさんもティナさんと同じくママをやっていたという設定。
旦那さんは誰?って話ですね…
自分の中では決まっているんですが今ここで書いても話がややこしくなっちゃいそうなので(ましてや私が書くと)、今はまだリバースにさせて頂きます。
多分、次回で最終回です。
最後まで読んで頂けたら嬉しいです。