「母さん~お腹減ったよ~~。」
あれから5年過ぎた。
子供達が自分を呼ぶときは、もう「ママ」じゃなくて「母さん」になった。
そして子供達と過ごす5年間は旅をしていたときよりずっと長く感じられた。
ー勿論かつての仲間達もここに訪れた。
そして、かつて慕情をよせていた彼も。
しかしその時はもう「愛しい人」ではなく「かつての仲間」として彼を迎えることが出来た。
確かに彼が来たとき、5年前に寄せていた思いが心の中に溢れてどうしようもなくなりそうなときもあった。
しかし、母親なのだという自覚がそれを寸での所で止めてくれた。
ーもう若かりし頃の自分は捨てよう。
ー忘れ去るのだ。
自分にいつも言いつけていた。
自分がどんなに不幸であっても、それ以外の人まで不幸になってはいけない。
自分が不幸であっても、他のみんなが幸せならきっと、耐えられる。
そう信じているから。
しかも、もしここで彼についていってしまっては、残された子供達はどうすればいいのか。
そんな私の口癖は「オブリヴィオン(忘却)」だった。
「…オブリヴィオン」
私はそう呟くとお腹をすかせた子供達に朝ごはんを作りはじめた。
「ねぇ、母さん。」
「えっ?なあに?」
「僕ら、この近くにある洞窟に探検に行きたいんだ。」
子供達は浮き浮きした顔で言った。
「子供達だけでは危ないわ。私もついていくから。」
「やった~~!」
子供達の笑った顔を見、私も微笑んだ。
「ごはん食べ終わったら、行きましょう。」
「は~い!」
子供達は元気に返事をした。
私は微笑を保ったまま、子供達の顔を見ていた。
(あとがき)
自分にしては珍しく短い?(かな)
というよりロックが出てないし、話がモブリスの様子だけ…
次回、ロックを出す予定ですが…
本当に計画通りにいくでしょうか?心配です。
こんな作品ですが、これからも続きます。