あの事件からもう二ヶ月が過ぎた。
私は今、子供達のためにセーターを編んでいる。
あの時、私は母親としてどうすべきだったかを改めて痛感した。
もう、自分勝手な思いは許されない。
私は母親として幼くて可愛い子供達を守らなければならない。
ー確かにロックから想いを寄せられていると思うと胸が痛んだ。
私だって、ロックの事が好きだった。
けど…私はもう恋に振り回されたりはしない。
私には子供達への愛さえあればそれでいいのだ。
何があっても大丈夫、きっと。
ーいつもいつもそう思っていた、過去の想いを断ち切ろうと。
あの日が来るまでは…
「今度から遠くの地域でトレジャーハントすることになったんだ…」
そう、彼と別れなければならないその日が来たのだ。
大丈夫、耐えられると思っていた私の心は打ちのめされた感じがした。
もう、彼には会えない…
別れの日の前日、私はロックと二人で話をしていた。
大したことではなく、今までの思い出等について語っていたのだ。
彼が言うことに笑顔を作って答えを返すのが精一杯だった。
本当は、彼に会えないと言う悲しみから泣きたい気分だった。
けど、泣いちゃあいけない。
悔いの無い別れ方をしないと後で悲しみに取り付かれると思ったから…
話が終わると、私はおやすみ、と微笑んで言って足早に部屋を出て行こうとした。
けど…
突然、右腕を捕まれた。
ロックの方を振り向くと彼は熱い瞳で私の事を見つめていた。
私はそれから逃れようと必死で部屋を出ようとしたが腕を強く捕まれててそれも叶わない。
私達はそのまま動かなかった。
「なぁ、一つだけ教えてくれ。」
どうしても彼の目を見ることが出来ない私は目のやりばに困った。
「俺はどうしたら、お前を振り向かせることが出来る?」
「…。」
「お前がここで子供達を育てていきたいと思っているのは分かっている。
けど、その子供への愛以外の愛を、俺はお前から与えられたいんだ。
俺がそうであるように。」
私の頬に熱い涙がとめどなく流れた。
「やめて…私は…」
「俺のことが好きなのか、そうじゃないのか、答えてくれ。」
そんなこと、言えない。
それを言ったら、私の胸は張り裂けてしまうだろう。
私はただ沈黙を貫こうとした。
しかしそれで彼が私を離してくれることは無かった。
「そうか、言えないのか…」
そういうとはーっ、と深いため息をついた。
しかしはき終わると彼はいきなり私の事をベットに押し倒した。
いきなりの彼の行為に、私は戸惑った。
「なら自分で答えを見つけ出してやる。」
そういって乱暴に私の服を脱がした。
「やめて…いやぁ…」
しかし彼は聞かなかった。
その手はコルセットに伸び、それを取り去ってしまった。
「嫌なら抵抗しろよ。しなかったら俺がいいと思うように解釈してやるから。」
真剣に言うと、彼は自分の服をも脱ぎ捨てた。
私にはもう何も出来なかった。
ただ何かの魔法にかけられたかの様に彼の瞳をじっと見つめる事しか出来なかった。
その夜、彼は私の体を貪った。
いや、私も彼の事を食べていたのかもしれない。
ただお互いの体から与えられる熱を感じあっていた。
彼は私を部屋まで運んでくれるとおやすみ、と言って部屋を出ようとした。
しかし急に立ち止まって言った。
「…愛してる。」
次の日、彼は村から立ち去った。
私は彼を見送った日の夜、ただ泣いてばかりいた。
「ロックぅ…ロック…!」
そう呟いて。
けど泣き終わると、私はオブリヴィオンの曲を流した。
そう、私の恋はこの曲の様にはかなく終わったのだ。
大丈夫だと思っていたのに。平気だと思っていたのに…。
私はあの日の夜の様に、ただ泣きながらベットに身を投げた。
ベットに入ると、私はすぐに寝てしまったらしい。
暗い部屋の中で意識がすーっと消えていくのが分かったから。
ーそうして私は彼のいない朝を待った。
(あとがき)
途中で微妙にエロいシーンがありましたね…
すみませんっ!!いや本当に。
どうしようかと迷ったのですがやっぱりこういう風にした方がいいかなぁと思って…
次回で最終回です。
あともう一回だけお付き合いお願いします。