「ん…んっ…。」
目を開けようとすると両腕が何かに捕らえられていることに気づいた。
動かそうとしても全く動きそうに無い。
「おはよう、ティナ。」
その声を聞いた瞬間、私はがばっ!と起き上がった。
「うわっ!いきなりどうしたんだティナ!!」
「なっ…なんで貴方がこんな所にいるのよっ!」
「ティナ…呼んでも起きそうに無い妻を夫が起こさなくて誰が起こすんだ?」
えっ…妻?私が…?
長い夢から覚めたばかりのため、意識が朦朧としている。
「随分と長い夢を見ていたんだな、ティナ。」
彼は私に顔を近づけて笑顔で言った。
「で、どんな夢だったのか、覚えてるか?」
ああ、そうだ、これは…
「…貴方を助けた時の夢を見ていたのよ…。」
「ふぅん…。通りでなかなか起きられなかった訳か。」
私を押し倒しながらそう言った。
「けどもう起きなきゃな。
あいつも心配するから。」
するといきなり部屋のドアが開いた。
「ママ~起きるの遅いよ~!」
まだ私の事を「ママ」と呼んでくれる愛娘の声。
自分で産んだ、子供の声。
「ほら、言わないことじゃない。」
そう言うと彼は私の体を起こして抱き上げた。
「ち…ちょっと!自分で歩けるわよ!」
「いいだろ?夫婦なんだから。
これ位させてくれたっていいじゃないか。」
「良くないわよ!娘の前で…恥ずかしくないの?!」
私の顔はもう真っ赤になっているのだろう。
「お熱いね…二人とも。」
挙句の果てには娘にまでからかわれてしまった。
私ははーーっ、と深いため息をついた。
「寝坊してごめんね…朝ごはんにしようか。」
「ああ。」
こうして私達3人はいつもより遅い朝ごはんを食べた。
「ねぇ、パパ~ママ~!私弟か妹が欲しいよ~!!」
食事中に娘がそう言ったのを聞いたので、私の顔は一気に赤くなった。
「よーし、分かった!」
ロックは私の承諾も得ないまま娘に約束してしまった。
彼は私のほうを見て微笑むと娘との長話に付き合っていた。
ーオブリヴィオン。
私は心の中で呟いた。
もう過去に振り回されたりはしない。
今を、未来を、ただ精一杯に生きるんだ。
ー私は自分にけじめをつけると目の前にあるパンを食べながら夫と娘の様子を見て、微笑を浮かべた。
(完)
(あとがき)
またまたびみょ~な最後ですみません。
そして…長すぎるんだよ!お前!
なんだなんだ10話(8.5話も入れると11話)まで長引かせやがって!
しかも夢オチだし…
ごめんなさい!!まさか私もここまで長くなるとは思ってなかったんです…。
という訳で…
読んで下さった皆様!ありがとうございました!!