薄暗い炭鉱の中を男は慣れた足取りで進んでいく
ここに住む魔物は暗闇を好む者達ばかりだ
松明一つの明かりでも襲われる危険はほとんど無い
しばらく炭鉱を進んでいくと、何処かで鈍い音が聞こえた
崩れるような…しかしどこか響く音
その音を聞き男はもしやと思う
(まさか…落ちたか?)
この炭鉱にはいくつか地盤が緩い場所があり、よほどの記憶力が無ければ入るのは危険だ
「まずいな…」
男は軽く舌打ちし、急ぐように奥へ進んだ―
―そして、予想通り
長年の勘と記憶力を生かし辿り着いた先には一人の少女が倒れていた
男が探していた少女―"帝国の魔女"と呼ばれた少女
遠くから見ても一際目立つその少女は白に包まれていた
顔が見えなくとも美しいと思う
「大丈夫か?」
その少女に近づき男は尋ねた
…その瞳には警戒の色が浮かんでいたが
しかし少女に意識は無く、声をかけても気がつく様子は無い
―今なら
今ならこの少女を殺せる
男はそう思った
もともとあの老人からはこの少女を助けるようにと言われてはいるが、自分はリターナーに身をおく立場だ
そんな人間が帝国の人間―それも死んだ人々のほとんどを殺した者を目の前にすればそう思うだろう
だが男はその想いを否定した
何故かは分からない
彼女が可哀相だからか、単なる気まぐれか―
可哀相と言えばそれは残酷な事だろう
そんな考えが浮かび、ふっと男は皮肉げに笑う
「…とりあえず運ぶか…」
そう呟くとともに、男は少女を抱え再び歩き出した―
~あとがき(正しくは言い訳)~
あ、最後謎だ(お前の発言が謎だよ)
という事でやっと二人出会いましたね
ティナ起きてないけど(笑)
最初の方の魔物に会うことが無いっていうの、いや会うけどねって思ったのは私だけじゃないはずだ(爆)
…書き直そうか真剣に悩みました…(悩むなよ)