ただ、じっと。
君を、抱き締める。
*
この世界、全てをかけて。
最後の、戦い。
拒む者など、いなかった。
君も、頷いた。
最後の夜。
君は、部屋でひとり。
嗚咽すら、漏らさず。
涙は全て、枕で受け止めて。
何があるのか。
何を恐れるのか。
尋ねても、教えてくれない。
君が、見えない。
震える肩を、強引に引き寄せて。
溢れる雫を、唇で受け止めて。
温もりを逃がさぬよう、全身を包み込んだ。
君が、いたから。
初めて交わした唇は、涙に濡れて。
甘さよりも、温かさよりも。
綺麗で、ただ悲しい。
君は、今も泣いている。
眠る身体を、腕の中へ閉じ込めて。
少しでも眠ってと、囁いて。
華奢な身体を、懸命に支える。
やっと届いた、静かな寝息。
毛布に包まり、目を閉じて。
眠る君を、守って。
朝を、待った。
もう一度。
君の笑顔が、見たいから。
*
お願い、笑って。
今だけは。
震える肩を、支えるから。
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締切を破りつつ(汗)も無事アンソロ原稿終わったので、久々に投稿です。
最近は素敵創作がとても多いので、正直なところ自分の駄作はアップしない方がいいんでしょうねぇ…。
でも書いたので投稿です(爆)