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「いずれ果てる幻は―」 司

交叉する幾つもの存在

決して交わる事を許されず、永遠にすれ違い、通り過ぎてゆく存在


だがもしその存在が交わろうならば―


そこには何が残るだろうか―?


例えば


永遠を統べる存在と


その永遠に縛られる存在と


対なる存在が交わろうならば―

  *


「綺麗ー!!」


目の前に広がる湖
そして辺りにそれを飾るかのように育っている木々達
湖の色自体はさほど珍しくもない
だがその景色には美しいという言葉が相応しい

まるで幻を思わせるような景色に、一同は一瞬心を奪われた
しかしすぐにリルムやガウは走り出し、残りの者も各々行動する
そんな中、ティナはまだその景色に心を奪われていた

「ティナ?」

聞きなれた声に名を呼ばれはっとする
見てみれば予想通り、近くには見慣れた顔がある

「どうかしたのか?」

「…何でもないの…ただ綺麗だなぁって…」

顔を覗き込んでくるロックに笑って誤魔化すとティナは微笑みながら続ける
そのぎこちない笑いに気づく様子も無く、ティナの言葉を聞くとロックは広がる景色を眺めながら笑う

「まさかまだこんなところが残っていたなんてな…俺も知らなかった」

「…見つけたのはロックじゃないの…?」

「あぁ…言い出したのはエドガーだったな…」

何気ない言葉に疑問を抱き、問う
いつもと変わらぬ会話
だがこうしている間にも世界は変わってゆく
考えてみれば不思議なものだ

ふと、ティナはそう考えた

(私がこんな事をしていて良いのかしら…?)

「…ティナ?」

その様子を見てか、不安そうな瞳でロックがこちらを見つめてくる

慌てて微笑み返事を返すが、ロックはまだその視線をティナから外そうとはしない

「…何かあったのか?」

「ううん…大丈夫……ねぇ、ロック?」

「?」

「幻は…いつか消えてしまうのよね…?」

その声はわずかに震えていた
だがそんな事を気にする様子も無くロックは問いに答える

「…まぁ、幻だしな……」

「そう…」

何気ない言葉にティナの顔は曇る
しかしロックはティナの顔を見ずに、続ける

「…でも誰かが望めば…残るかもな」

その言葉にティナははっと顔を上げる
見てみればロックはこちらを向いて微笑んでいた

「そろそろ行かないとな またセリスに怒鳴られかねない…」

そう言うとロックは苦い顔をする
普通ならば思うことは違うのかもしれないが、何故かティナはその顔を見て安堵した

「うん―」


永遠にとは望みません


だからどうかお願いです

今だけは どうか―


   *


その存在は果たして―

~あとがき~

はい、久々に長編以外でロクティナ書いたと思えば謎ですね☆(死
最後のティナの台詞…というかそこが書きたかっただけです(爆)

ちなみにタイトルは自サイトのお題から(苦笑)

実はtieLeaf様の花ひらく蒼天を読んで無茶苦茶泣きまして(ぇ)
その影響でオリジナルの過去の話を書きまして(死にネタのグロくて暗いの)
さらにそれが影響してロクティナのこんな話が書きたくなったわけです(謎)
でも花ひらく蒼天は泣きました…オリジナルが浮かびまくりました(笑)
そういえばロック誕…
近いのでまた投稿すると思います
ネタは酒飲みティナ子(えぇぇ!!!?)

…まぁ、そんな感じです(どんな感じだ)

Title
「いずれ果てる幻は―」 司
Posted
2007/11/18
Category
ロクティナ・SS

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