「こんにちは、ブランフォードさん。」
「あら、こんにちは。」
声をかけてくれた隣人に笑顔で挨拶を返す。
「毎日毎日賑やかですよねぇ、ここも。」
そう。ここ、モブリスの村も大分賑やかになってきた。
世界に平和が戻った際、この村に多くの人が住みかを求めてやって来たからだ。
「あら、あそこにいるのは…」
世界の崩壊と共に父母を失った子供達。
今はもう別の夫婦達に引き取られて幸せな生活を送っている。
「ご立派ですよねぇ。あの子達全員の世話をしていらっしゃったのでしょう?」
「…ええ。」
今となっては幸せな日々だったと思う。
けど、子供達に別の父母がつき、私から親心が離れていってしまったのを目の当たりにした時は喜び以上に何か寂しい感じがした。
ーその時、いや、もっと前からだろうか。
私は何故か愛を信じられなくなった。
決して子供達が私から離れていってしまった事を恨んでいる訳ではない。
だがしかし、あれほど私を母として慕ってくれた子供達が自分の事を「お姉さん」と呼ぶようになってから、何か変な気持ちがした。
「そういえば!知っていらっしゃるかもしれませんが…
あのロック・コールが誰も足を踏み入れたことの無い洞窟での発掘に成功したみたいですよ!
何でも地元では「世界一のトレジャーハンターとか言われているそうで…」
「…え…。」
私の心臓は一気に脈を打つスピードを速めた。
息切れまでしそうな勢いだ。
「しかも3日後には結婚するとか…
もう何が何やら…
ーーーーーっ、ブランフォードさん!?」
その人の言葉はもう何も聞かずに私は走って村を出た。
そして近くにあったチョコボ屋でチョコボに乗るなり、全力で走っていった。
行くあてなど、無いに等しい。
ただ彼に会いたい、その一心で走っていた。
自分と、別の人と結ばれるのでも構わない。
彼に、ロックに会いたかった。
「きゃあっ!!」
どれ位走ってからだろう。
いきなり、何かにぶつかった。
その反動で、私はチョコボから落ちてしまう。
「うっ…ううっ…。」
「大丈夫か?」
手を取ると、そこにはマントに身を包んだ男がいた。
「あ…貴方は…!」
「俺だよ、ティナ。」
男はマントを勢いよく脱ぐと私に抱きついた。
「全く…困ったお宝だな。急に村を出て行くんだから…」
「だって…!」
私は半分怒った口調で言った。
「貴方、結婚するんでしょう?5年前嫁に来てくれとか自分勝手なこと言っといて…酷いわ!」
いや違う。本当はこんな事を言いたくて村を飛び出したんじゃない。なのに…
「すまなかったな、ティナ。」
ロックは微笑んで私の頭を撫でた。
「けど、お前は一つ、大きな勘違いをしてるぞ?」
言われた瞬間、私は驚いて彼の顔を見た。
「え…」「結婚するのは…」
彼は私の手を取ると、薬指に銀色の指輪を付けた。
「…ティナ、お前だ。」
言い終わると、彼は最高の笑みを見せて私を抱きしめた。
ーこれが…恋という愛なのかしら…
私はそんな想いを抱きながら彼の胸に顔を埋めた。
(あとがき)
何でしょうね、これ…
シリアスっぽいものを書くと宣言しておきながら全くそれっぽくなっていないと言う…
悉く有言無実行な奴で申し訳ございません。
もっと精進してきます。
ところで…どうでも良くないことですが…
12月初頭に学校で試験があるので小説を今みたいに頻繁に投稿出来なくなります。
ロックの誕生日辺りには一つくらい小説アップしたいなぁと思っているのですが…