「ロック、ちょっと来い。」
セッツァーに呼ばれたロックはしぶしぶ彼について行った。
そして二人はファルコンの上部まで来た。
「お前なぁ…何あんなキモい顔でティナ見てたんだよ?」
「お前にはどうでもいい事だろう?!」
ロックは動揺しながら、それ故にか声を挙げて言った。
「どうでも良くねぇよ!周りの奴らの視線を全く感じなかったのか?
ティナにあんなにベッタリくっついてきて…
はたから見りゃ、あれは間違いなくストーカーだぜ。」
「だってよぉ…」
ロックは言い返そうとした言葉を急に止めた。
「何だよ…言いたいことがあるんだったら言えよ。
どうせ俺しか居ないんだから。」
「実は…」
その夜、一行はシドールの町の宿屋を利用することになった。
「よぉ、ティナ。」
「あら、いらっしゃい、セッツァー。」
ティナの部屋に来た彼は中に入って話をしようとした。
ティナは「いいわよ」と言って彼を中に引き入れた。
(無防備な子だなぁ…ティナは)
彼はそう思いながら招き入れられるままにソファの上に座った。
そしてそれからは他愛も無い話を重ねた。
最初は抵抗を受けるかと思われたが意外とすんなりといった。
これは彼女が如何にまだ純粋な娘であるかを物語っている。
「ところでよぉ…ロックのことなんだが…」
彼は少し顔を歪めて(彼にとっての)本題を切り出した。
「あら、ロックの事?そういえば今日、いつもとは様子が変だったわ。
どうしちゃったのかしら…」
ティナは悩ましげな声で言った。
「それは…」
「明日は彼の誕生日で、プレゼントもちゃんと用意してあるから…」
「……っっ!!?」
彼はいきなりのティナの発言に驚いた。
「どうしたの?」
「今日だよ…」
「え…?今日?けど、エドガーはずっと前に11月25日だって…」
(あいつ…!ティナを騙しやがって…)
「どうしましょう…もう眠っちゃってるわよね、ロック。
起こすわけにもいかないし…やっぱり、明日…。」
「今日、今くれよ!」
「え…なんでセッツァーに…?」
「俺はセッツァーじゃなくて…!」
言うと彼は長い銀髪のかつらを取り捨て、顔に貼ってあった傷の様に見えるメイクを落とした。
「え…ロック!どうして…?」
「お前が俺の誕生日を知らないのかと心配になって…
けど覚えててくれたんだな!違うやつだけど。」
叫ぶと彼はがばっ、と彼女に抱きついた。
「ちょっと…ロック…?」
「いいんだ。お願いだからもう少しだけ、こうさせて。」
ティナは言われるがままに、彼に肩を寄せた。
「ご苦労だね、ギャンブラーさん。」
「ああ、全く…お前が変な嘘吹き込むから…」
「私だってよくは知らなかったんだ。
君から聞いて初めて本当のが分かった。」
部屋の中で男二人はワインを味わっていた。
「まぁ今日は遅いから彼らは二人っきりにしといてあげよう。」
「全く…世話の焼けるバカップルだぜ…。」
「君も人のこと言えないんじゃない?」
「?何か言いやがったか?お前。」
「いーや、何でもない。」
こうして、ある男の誕生日は更けていった…
(あとがき)
こんなものでごめんなさい!
本当は昨日、書きたかったのですが家に伯母さんが来ててパソコンをいじくれませんでした。
いや~!ロックの誕生日なのに…
ごめんよロック、そしておめでとう…。
とにかく誕生日に間に合って良かった…!
ところでセッツァーについてですが…
ロックがかつら付けて傷メイクすれば似れると思っているのは私だけでしょうか?
だってこのお二人さん、身長が同じなんだもの…
とにもかくにも、乱文失礼しました…。