ねぇ。
笑って?
*
黄昏た空は、晴れて。
世界を包む絶望が、希望に変わる。
そして。
私はここに、生きている。
不思議、だった。
どうして私が、再び晴れた空を見られたのか。
どうして私が、人達の輝く笑顔を見られたのか。
尋ねてみると、貴方は。
笑って、答えた。
「君が諦めなかったからさ」
首を傾げた私の頭を、優しく撫でて。
「皆も、君も、諦めなかった。
戦うことも、生きることも。
命を捨てて大命を果たすのは、本当は綺麗なことじゃない」
声が微かに震えてたけど、その事実には全く触れずに。
貴方は笑顔で、続きを語る。
「命は尊い。それは、他人も自分も一緒だよ。
例え自分の命だからといって、簡単に投げ出しちゃ駄目なんだ。
その命の最期まで、懸命に生きなきゃ、駄目なんだ」
命の最後の欠片さえ、彼のために魔石に託して、逝った女性。
彼女はきっと、自分の命を投げ出さなかった。
自分の命を彼に託して、貴方を導いてくれた。
だから今。
貴方は、笑っていられる。
「……ロック」
「ん?」
私は、彼女のようにはなれないから。
「ありがとう」
私にできる、たったひとつ。
貴方への感謝を、言葉にする。
「……どういたしまして」
貴方は。
笑ってくれた。
*
お願い。
貴方は、笑って。
そうすれば。
きっと、私も。
いつか、笑える。
(あとがき)
ご無沙汰しております。
年明けと申しましても既に3月ですが、久々に投稿させていただきます。
相変わらず甘さなし、切なめ文章です…。
タイトルはずばり『贖罪』で。