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「夢の中で (ロック視点)」 チョコ

ゲームと違う箇所があります。苦手な方は閲覧注意です~
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「ここはどこだろう…?」
辺りを見回しても、答えは見つからなかった。

何も見えない、何も聞こえない、無色透明な真っ白な世界。
さっきまでハッキリしていた意識がいきなり断絶されて、よくわからない不思議な場所へ
放り込まれてしまったような気がする。

すると突然、前方から強い光が差し込んできた。
迷った末、その光に向かってゆっくり歩いて行く。

光を抜けると、見慣れた風景が広がった。

(ここは……リターナーの本部だ。あそこにいるのは、俺?)

エドガーとマッシュ、ティナの姿も見えた。バナンもいる。
みんなで何かを話しているみたいだ。

「サウスフィガロで内部から敵を足止めする作成だろ?」
「お前の特技を見込んでの作戦だ。頼んだぞ」

(あ、そうか)
ここにきて、ようやく合点がいった。
どうやら俺は、サウスフィガロの街が帝国に襲撃された時の夢を
みているらしい。

(あれは結構、大変だったな…)

感慨に耽っている間に、夢の中の自分は扉を開けて出発しようとした。
すると、

「ロック!」
ティナが追いかけてきた。

「ティナ」

夢の自分が振り向く。

「どうした?」
「ロック、行っちゃうの?」
「え?」
「寂しい…」

一人で取り残される子供みたいな顔をしてうなだれているティナに、
夢と知りつつ胸が痛んだ。

(そうだよな。ここまで俺はティナとずっと一緒にいたもんな)

目覚めた時から変わらずそばにいた人間が離れようとすれば、
心細いのは当然だろう。

(あの時俺は、何て言ったっけ?)

「ティナは一人じゃないよ。エドガーやマッシュだって一緒にいるだろ?」

夢の自分がそう言っても、

「うん…」

ティナは不安そうだ。

そんな様子に夢の中の自分は苦笑すると、ティナの目線に顔を近づけて言った。

「大丈夫。俺はすぐに戻ってくるよ」
「…本当?」
「本当だよ。約束する」

(そうだ。あの時俺は、ティナと約束したんだ)

「必ず俺は、ティナの所に帰ってくる」

そう言うと、やっとティナは安心したのだろう。

「約束よ?」

と言ってニッコリ笑った。

「だからティナは、俺が戻って来るまで大人しく待ってろよ?特に…」

チラリとエドガーを見て、

「手が早いので有名な、どこかの王様には気をつけろよ!」
「ロック!」

すかさず飛んでくる非難の声。
その言葉に笑うティナを見て安心する。

自分を必要としてくれている人。
守ると決めた大切な人。

(きっと守ってみせるから…)

改めて、心に誓った。

しかしそう思った瞬間、辺りの景色が崩れ始めた。
夢の世界が、ティナの笑顔が、どんどん遠ざかっていく―――

「―――っ!!」
「気がついた?」

声をかけられて振り向くと、セリスが心配そうにこちらを見ていた。

「ずっと気を失っていたのよ」
「ティナは?」
「あの子は…」

セリスは辛そうに下を向く。

「何かに変身して、そのままどこかへ行ってしまった。
あれはまるで…幻獣のようだった……」

そうこうしている間に、エドガーが部屋に入ってきた。

「ロック、気がついたか。ティナに何かが起きた。目撃した人の情報によると、
西の方へ飛んでいったらしい。追いかけるぞ」
「…ああ」

俺はベッドから飛び降りると、ターバンを締め直した。
『約束よ…?』
そう言ったティナの声が耳にこだまする。

ティナはきっと待っているから。

「行こう。俺は守ると約束したんだ」
「ロック…」
セリスが驚いたように、それから嬉しそうに顔を上げた。


(ティナ…)

君がどこにいても。どんな姿をしていても。

必ず君を、見つけ出す。
必ず君を、助け出す。

必ず俺は、君の元へ帰る――――


<あとがき>

お久しぶり…です……(ドキドキ)

「守る」とか言ってた割に最後まで眠りこけてたロックに、ひとつ夢でも
見てもらおうかと思ったのがキッカケのこの話。
「守る」もいいけど「ティナの所に帰る」っていうのもあったらいいなあ~
という超個人的願望の夢を作り上げてしまいました。

読んで頂いてありがとうございました!

Title
「夢の中で (ロック視点)」 チョコ
Posted
2008/03/21
Category
ロクティナ・SS

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