「ああっ!もうっ…!」
私はベッドの中で一人、怒鳴り声を上げ目には涙を滲ませていた。
昨晩は人生最悪の夜だった。
悲劇はかつての仲間・セッツァーと久しぶりに再会した時、起こった。
*****
「もういいじゃない!貴方が何と言おうと、関係の無い話だわ!」
あの時の私も、怒鳴り声を上げていた。
彼が、私とロックとの関係がどうなっているのか、根掘り葉掘り聞こうとしてきたからだ。
「あるんだよ!だから聞いてんじゃねぇか、馬鹿!」
彼もまた、厳しい口調で言葉を返してきた。
あの時、私とロックは赤の他人の関係に等しかった。
ケフカとの戦いを終えた後、私はロックが向かう場所へこっそりとついて行ったのだ。
しかし、そこで見たものは…。
モブリスの村で子供達と遊ぶロックの姿だった。
私はその時、彼の心が誰に支配されているのかを薄々と察した。
耐え切れなくなった私は、誰にも気づかれないようにその場を去り、それ以来二度とかつての仲間に会う事はなかった。
「どーせお前の事だから…フラれたんだろ?」
急に優しくなった彼の口調に私は戸惑った。
「やめてよっ!もうっ!」
目尻に涙を溜め、私は急いでその場を立ち去ろうとした、が…。
「そうはいかないぜ。」
いきなり腕を捕まれ、今までの彼からは考えられなかった程の力で引っ張られて、そして…。
恐らく彼のものなのであろう屋敷の中の一室に拉致され、ベッドに押し付けられた。
…その後何が起きたかは、説明するまでも無い。
*****
「セッツァー…どうして貴方が…こんな酷い事するのよ…。」
私はシーツを握り締め、声を押し殺すようにして泣いた。
当事者は私が目覚める前に何処かへ行ってしまった。
ベッドの下には、彼と私が来ていた服や下着といったものが散乱していた。
それは、昨日私達が何をしていたかを鮮明に表していた。
私はじーっと、彼の革製のコートを見つめた。
これは、初めて出会った時から身に着けていたものだ。
何を血迷ったのか、私はそれを引っ張ってきて全てのポケットをあさり始めた。
自分でも、何をしているのか分からない。
しかし、最後のポケットの中身を取り出したとき、それは意味のある行為だった事に気づいた。
「…これ、は…?」
金色に輝く指輪と、クシャクシャに丸められた紙が入っていた。
「綺麗…。」
小さな宝石があちこちに散りばめられている、高価な一品だった。
しかし、それ以上に私が気になったのは例の紙だった。
「…何か書いてあるのかしら…?」
破れないように丁寧に広げると、そこには文字が書いてあった。
彼の文字で…
『セリスへ
今まで素直になれなくてすまなかった。
味気無い台詞かもしれないけれども、お前の事を愛していた。
きっと、いや、恐らくお前はロックの事が好きなのだろう。
俺の事なんぞ、何とも思っていないのかもしれない。
けど、もし、許してくれるなら…俺と一緒になって欲しい。』
だが、その手紙を渡される間もなく、私は彼にさよならの一言も言わないで行ってしまったのだった…。
「うっ…。」
私は手で口を押さえる様にして再び泣き始めた。
最低なのは私の方だった。
自分の事だけを考えて、彼の気持ちにこれっぽっちも気づいてあげられなかったのだ。
「…ごめんなさい、…ありがとう。」
言い終わると、私は金色に輝く指輪を指にはめた。
「…私がつけるには勿体無かったかな…?」
よいしょとベッドから起き上がると、散らばっていた服の中からドレスだけを取り出して着た。
ちょうど着替えが終わった頃、彼が部屋の中に入ってきた。
「…おい、…セリス?」
近づいてくる私が何を考えているのか、彼にはまだ分からないのだろう。
「…おはよう、セッツァー。」
そして彼の唇を奪った。
当然なのか、彼は驚き目を見開いてこちらを見つめてきた。
「…ねぇ、私、昨日とは違うんだけど…分かる?」
今だに何が起こったのかと戸惑うセッツァーに、私は右手の薬指で彼の顎を這った。
「…お前…見たのか…あれを。」
「ええ。」
ニッコリと微笑む私につられてか、彼の顔もまた微笑顔になった。
「…飯でも食いに行くか…?」
間を置いて、彼が声を掛けた。
「うん、それもいいんだけど、その前に…もっと愛して。」
「…了解。」
彼はそう応えると、苦しい程に私を抱きしめた。
<あとがき>
今日二度目の投稿になりますが…何よコレ!
内容が下品極まりないですね…本当に申し訳ないです。
セツセリ好きな方でも絶対に引きますよね、コレ…。
セッツァーはこんな陳腐な真似しないよ!って…。
と言うより、自分セツセリ書く機会多すぎない?(話題を逸らすな)
これで三回目ですよね…
ロクティナもロクに(笑)書かないで…。
ごめんなさいっ!次こそはもっとまともなの書きます!(勿論ロクティナで)
それから…こんな作品を読んで頂き、有難うございました!