演じ続けるのは、もうやめて。
*
出会った当初から感じていたのは、恐らく違和感。
……勿論最初は、それすらも感じない程に、私の心は凍り付いていたけれど。
愛しい人の生命を、帝国の手で奪われた事実。
失った恋と失った人への、妄執。
狂気とも取れるような、蘇生への願望と執念。
──その全てを、人好きのする笑顔の仮面で覆い隠して。
彼は、ひたすらに戦い続けていたから。
時を経て。
彼はその望みを叶え、彼の愛した人は人として別れを告げた。
それは、当初の彼の望みではなかったけれど。
彼に未来への一歩を踏み出させるため、大切な一歩。
今の彼は、心から笑い、怒り、涙も流すのだから。
……だから。
「ロック」
「ん?何だい、ティナ」
私の声にも心からの笑顔で応えてくれる、彼の優しさに。
私は一言だけ、告げた。
「お誕生日、おめでとう」
*
きっと貴方は、今幸せ。
だから。
私はただ、祈る。
貴方の心が。
張り詰めることなく、安らいで。
思うままに、想いを伝えられるように。
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お、遅れました…(号泣)が、一応ロック誕生日記念作です。
幸せな話を書きたかったのに、気付けばティナ片想い(汗)
と、とにかくロック、おめでとうー!