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「秋色の日」(詩) シスターM

空が高くなった、ある日の午後。
樹の下に、黒頭巾の男が眠る。
横に、精悍な顔つきの犬も眠る。
そして、少し離れた草原に。
まだあどけない表情を持った、愛らしい少女が眠る。

漂う空気は、不思議なほどに穏やかで。
冷たさを増した風も、柔らかく吹いていた。
やがて、小さくくしゃみをした少女に。
目覚めた男は、毛布をかけた。

     *

空が高くなった、ある日の午後。
麗しき王と、逞しい武道家は。
言葉少なに、ふたりで語る。
傍目には、意味のない会話も。
ふたりには、かけがえのない時間。

漂う空気は、不思議なほどに穏やかで。
冷たさを増した風も、柔らかく吹いていた。
やがて、ふたりは微笑みあって。
同じ色の瞳が、互いを映した。

     *

空が高くなった、ある日の午後。
老いた魔導師と、老いた剣士とは。
まっすぐな心の少年と、まっすぐな心の獣に。
昔語りを、静かに語る。
目を輝かせる、ふたりの姿。

漂う空気は、不思議なほどに穏やかで。
冷たさを増した風も、柔らかく吹いていた。
やがて、語りはひと段落して。
少年と獣は、草原へ駆け出した。

     *

空が高くなった、ある日の午後。
飛空艇の甲板で、勇敢な船長は。
己の分身を、愛しげに眺める。
興味本位で横に立つ、美しい女戦士は。
男の隣で、彼を見つめる。

漂う空気は、不思議なほどに穏やかで。
冷たさを増した風も、柔らかく吹いていた。
やがて、男は女に視線をなげかけて。
女は静かに、微笑みを返した。

     *

空が高くなった、ある日の午後。
巨木に登って、空を見つめる青年。
空に溶け込みそうな、青い服。
彼の隣には、ひとりの少女。
樹に溶け込みそうな、翠の髪。

漂う空気は、不思議なほどに穏やかで。
冷たさを増した風も、柔らかく吹いていた。
やがて、彼は彼女に囁いて。
彼女は不意に、頬を染めた。

     *

それは、秋の日の、出来事。

 ─────

ロクティナも入れましたが、一応キャラ全員を出してみました。(ゴゴ・ウーマロ除く)
お題はそのまんま『秋』です。…出来はともかく。

Title
「秋色の日」(詩) シスターM
Posted
2003/10/02
Category
ロクティナ・SS

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