涙が流れた。
私が祈れば祈るほど、
貴方は私から遠ざかるから。
* * *
例えば、旅の途中。
貴方が見上げる空の彼方には。
私ではなく、仲間の誰かでもなく。
永遠の過去に微笑む、人がいる。
どうやっても、その人は永遠。
命を終えて、亡骸を留めて。
今のままでは、再び目を開けることはないのに。
永遠の微笑みを湛える、あの人がいる。
彼の心を、救ってやりたいのだと。
私に漏らした人がいた。
友として、いつまでも過去に縛られては欲しくないのだと。
名君と謳われる人は、悲しげに微笑んだ。
どんな権力も、どんな友情も。
心の暗闇で果てしなく、血の涙を流す彼には伝わらないと。
あの人は、透明な悲しい笑顔で微笑んだ。
私にできるのは、祈るだけ。
あったかくて、優しくて。
でも切ない、彼の笑顔を変えられる人が。
いつか彼の前に、現れてくれるように。
まだ人として未完成の、私のような存在ではなく。
心から彼に救いをもたらす、果てしなく優しい人が。
きっと彼の前に、現れてくれるように。
ただ、全てのものに祈るだけ。
そして。
言いようのない心の痛みを、例えようのない涙の理由を。
誰にも聞けないままに、隠し続けるだけ。
こんな、複雑な心は知らないから。
彼が空を見上げて、切ない瞳を見せなくなるまで。
きっと、私は祈り続ける。
それが彼を、新しい夢に近づけるなら。
彼の心からの笑顔を、彼が誰かに見せられるなら。
相手が私である必要なんて、きっとないから。
……そう想うたび、流れる涙の理由もわからないから。
貴方の幸せをただ、願う。
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…暗くなった気がします(汗)
すみません。ティナなんです、ティナのつもりなんです~