音もなく、降る白に。
気持ちを託したら、届くのだろうか。
『雪が降るとき』
世界の地形が、すっかり変わってしまっても。
ここモブリズは、広大なサバンナである『獣が原』のすぐ傍だから。
雪なんて、本来舞うことがないはずなのに。
今日は、何が起こったのか。
急に冷え込んできたかと思うと、辺り一面が銀世界となった。
「わあ!」
「すごーい!」
子供たちは、大はしゃぎで雪と戯れる。
ディーンとカタリーナのふたりも、子供たちを監督しているようでいて楽しんでいる。
空を、見上げた。
この空から、セッツァーの飛空艇に乗って、セリスたちが訪れたのが、もう一月も前。
もう叶わないと思っていた再会に、嬉しさが溢れた。
でも。
戦う力を失ってしまっていた自分。
フンババの来襲に、何もできなかった自分の、非力さを思い知らされた。
そして。
『彼』はまだ、見つかっていなかったことを、知った。
また、雪が降る。辺り一面を、覆い隠すように。
何もかも、優しく、包み込むように。
思い出すのは、初めて出会った、雪深い街。
初めての笑顔を、くれた人。
───貴方は、今生きているの?
元気なの?
誰にも問えないことを、心の中だけで繰り返す。
「………」
口の中だけで、そっと名前を転がすように呟いて。
どうか。
どうか、生きていて。
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あけましておめでとうございます…っていつの話だ(汗)。
1月なので、雪を見ながら一作捻ってみました。
ふたりが離れ離れになってる間ですが。
ロックサイドの話、自サイトで今後書いてみたいと思います。
…いつだろう(汗)