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「輝いて舞い降りる」 シスターM

 きらきらと。
 音もなく。
 ただ降り積もる。
 真っ白に。

 全部、埋もれてしまえばいいのに。

     *

「……あ」
思わず口にして、上を見た。
しんしんと、音もない空間に。
ちらちら、降ってきたものは。
思わず伸ばした手の平を上手に避けて、真っ白な地面へと抱かれる。
白は、白と結びついて。
より広く、鮮やかに、白を浮かび上がらせる。

「また、降ってきたな」
空を見つめていた少女に声をかけた。
飽きることなく空を見続ける、瞳の色には嘘はない。
寂しさもない。
感情の起伏には未だ乏しい少女が、珍しく積極的で。
雪の輝きが、その瞳に宿ったかのようで。
綺麗だと、思ったことは。
口に出してはいえなかった。

「……全部、埋もれていくのね」
街並みも、道も建物も、ふんわりとデコレーションされて。
そこにあった戦いの痕跡も、人々の涙も。
全てが白い世界の中、閉ざされていく。
───この中に。
この中に、私の存在も。
忌まわしい力も、成長途上の心も、捨てきれぬ想いも。
全てが隠され、消えてしまえば。

「いいや」
閉ざされることを望んだようにも思えた遠い瞳に。
俺は笑って否定する。
「全てがなくなるんじゃない。ただ、落ち着いて向き合えるようになるときまで……見守っているんだ、じっとして」
彼女の瞳がきょとんとしているのに、苦笑いをもうひとつ。
逃げないで欲しいから。
ちゃんと目を開いて、目で見て欲しいから。
祈りにも似た告白を、彼女に呟く。

「わかったわ」
また、空を見上げる。
音もなく、雪が絶え間なく降るのは。
何のためなのだろうか?などと問いかけて、やめて。
じっと見ていることにした。
何故だか。
それだけのことで、気分が良くなった。

次は。
雪を見たら、もう少し、楽しいと思えるだろうか。

 ─────

よくわからない冬のロクティナを書いてみたのですが。
互いの名前呼んでないです一度もっ!(汗)

バレンタインデーも過ぎましたが。
そういうイベント的創作、必要でしょうか?
ご意見を雑談BBSに投稿していただけると、嬉しいなー、なんて…ああ、すみません。

Title
「輝いて舞い降りる」 シスターM
Posted
2005/02/17
Category
ロクティナ・SS

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