その後姿を。
もう、見ていたくなくて。
*
時の流れに埋もれた、古代の城。
かつての魔大戦の跡を残す、その奥に。
滅びた国の王女と、魔石と化した幻獣の騎士との愛が。
悲しく、眠りに就いていた。
「幻獣と、人間との恋……」
王女の日記を見て、俯くティナの姿が。
痛かった。
「ティナ……」
少しだけ震える肩を引き寄せて、背中からゆっくり包み込む。
腕の中、少しだけティナが緊張するのが伝わって。
細い項が緊張に震えていた。
「大丈夫だよ」
俺は何も言えなくて、ただ『大丈夫』と繰り返し。
細い身体を抱き締めてやるしか、できなかった。
「……ありがとう、ロック」
ティナが震えていた理由は、聞かないままにして。
*
悲しい後姿を。
もう、見ていたくなくて。
俺はただ、君を抱き締める。
どうか、泣かないでと。
ただ祈りながら。
ただ願いながら。
‥‥‥‥‥‥‥‥
よくわからないロック一人称です。
一応古代城での探索をイメージしたいのですが…暗くなってしまいました。