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「そのとき貴方は星を見る」 シスターM

  きっと、輝くから。
  だから。

  貴方は、見ていて。


     *


あのときから、黄昏に覆われた世界。
眩しい太陽も、目の覚めるような青空も、何一つ感じない。
そして、柔らかな月も、瞬く星も。

晴れることのない空は、人の望みを断つ刃にも思えて。
私は、空を睨みつける。

「ティナ」

私の心に、ふんわりと届く風のような声。
振り向くと、青空の欠片。
光の粒を閉じ込めて、笑っている人。

「どうしたんだ」

ゆっくり首を振って、空を見ていたと答えると。
彼は納得したように、空を見上げた。

「……晴れないな」

彼の瞳の中には、確かにきらきらと、光の粒。
でも、空には星がない。

「この戦いが終わったら……きっと、星もまた輝くよ」

彼は笑う。

「そうしたら、さ」

温かい手が、私の肩をそうっと包んで。

「……一緒に、星、見ような」

魔法のように、私の心を惑わせる言葉。
与えられたことのない、将来の約束。
戸惑いながらも、これが『嬉しい』ことなのかと思って。
不安げな彼に、頷く。

「よし、約束な」

この戦いに、勝ち残れる保証なんて、ないのに。
彼は穏やかに笑ったから。
私は彼の言葉を信じた。


     *


  時が流れて。
  私が知った、自分の運命。

  きっと私は、星を見ることはできない。

  でも。
  きっとまた、星は、輝くから。
  だから。

  貴方は、見ていて。


 ─────

甘いロクティナを目指したのに…暗くなってしまいました(涙)

Title
「そのとき貴方は星を見る」 シスターM
Posted
2006/06/29
Category
ロクティナ・SS

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