この笑顔も。
この言葉も。
ホントウに、ホンモノ?
『フェイク』
記憶の底に沈むことなく、浮かび上がる映像。
届かなかった、手。
俺を見つめる、瞳。
ひらりと舞う、裾。
あの時君は、何を思った?
「………………っ!」
真夜中に、汗びっしょりで目覚めることも、なくならない。
むしろ、時間を隔てたそれは、毒々しいぐらいに鮮明に。
俺に。
罪を。
じっとりと汗ばむ、己の両の掌に。
今も残る、空を掴んだ空しさが。
無の感覚が、痛かった。
今。
俺の目の前に現れた、少女。
記憶を無くし、心を閉ざした。
ああ、なんという偶然。
俺は、試されているのか?
「俺が守る、必ずだ」
笑みを浮かべて、手を伸ばす。
それは、約束。
……約束?
俺が、何を、約束できる?
上辺だけの、明るさを。
仮面だけの、笑顔を。
こんな。
芝居で。
でも。
躊躇いながらも、少女は俺の言葉に、頷いて。
今、俺の手を取った。
鏡のような、瞳に。
映し出された、俺。
心まで。
偽りの。
全てが、フェイク。
少女の手を、掴んでも。
無は、消えない。
空(から)の世界は、埋まらない。
*
俺は。
ホントウに、ホンモノ?
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久し振りに投稿してみました……が(汗)
以前みっち~さんと話していた「ダーク系」ロクティナを書こうとして、何か方向を間違えた詩作です。
レイチェルに対する罪悪感で全てが空虚なままのロックが、ティナと出会った当時の心境をイメージしております。
ダーク文が書けないMでございました。すみません。