彼女からの答えはいつも「ありがとう」だった。
『ありがとう、ロック。』
そう言われると嬉しいのは確かなのだが、寂しいのも確かだった。上手く、ごまかされている気がして。
俺は、俺は--
ティナが好きだ。
本当に、誰にも代えられないぐらい大好きで、愛しくてたまらなくなる。
苦しくなる。
だから、2人きりになると思いの全てを口にする。
大好きだから。
言葉は足りないぐらいだから。
彼女を引き寄せて、抱きしめて、口付けて、どこにも行けないようにして--
でも、彼女からの答えはいつも「ありがとう」だった。
違うんだ。
そんな言葉が聞きたいんじゃないんだ。
「・・・え?」
びっくりしたように、ティナが目を見開いた。
「俺は、そんな言葉が聞きたいんじゃないんだよ、ティナ。」
彼女を抱きしめたまま、俺は耳元でささやく。そんな俺に困ったかのように、ティナは顔をかしげた。その様子は花のようで、
-ああ、なんてティナはキレイなんだろう。純粋なんだろう。
胸が熱くなる。
「ティナは、俺のこと好き?」
「え?」
「愛しいと、離れたくないと思う?」
真剣な瞳で聞く。その瞳と迫力に圧倒されたのか、ティナは思わず目をそらしながら
「うん・・は、はい・・。」
と、小さくつぶやいた。
「じゃあ言って。」
「え?」
「俺の目をみて、好きだと言いなさい。」
「え?え?」
その困惑ぶりがかわいくて、抱きしめている手に力が入る。
「言わないと、ずっとこのままだぞ--」
(まあ、それならそれでもいいけど)と、心の中で思う。
本当に、ずっとこのままでいてやろうか。
体越しに、抱きしめている腕越しに、ティナの早鐘のような心臓の音が聞こえた。
こんなにバクバクして大丈夫か?と、少し心配になってしまう。
「ロック・・」
しばらくして、ティナのか細い声が聞こえた。
緊張と羞恥で真っ赤になったティナと瞳が合う。
「え、えっとね、私ね・・」
「私、私、ロックのことが・・」
「ロックのことが、好きです。」
「ティナ・・」
「私、ロックのことが大好きです!」
「!!!」
たまらなくて愛しくて、ティナの細い体を折れんばかりに抱きしめた。
愛しいティナ。
かわいいティナ。
今の俺の全ての人。
「愛してるよ、ティナ。」
「うん、私も・・」
私もよ、ロック。
--それは、囁くような小さな声。
でも、ちゃんと届いたティナの声。
ずっとずっと聞きたかった言葉。
その思いを聞いてしまったからには、やっぱりずっとこのままでいようかなあ?
<あとがき>
初めてロクティナ小説書きました!!どうしても空白と改行を入れてしまう癖があって、随分修正したんですけどまだまだだと思います。
読んでくださって、ほんとーーーにありがとうございました☆