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「宝物」(ロック→ティナ) チョコ

ロック片思い中の話です(笑)
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「ティナの瞳はピカピカだな。」
「―え?」

びっくりして顔を上げると、これまたびっくりする程
近くで自分の顔を見ているガウと目が合った。

「きゃあっ!」

驚いて、思わず後ろに引き下がる。
すると、運悪くそこに置いてあったテーブルに、思いっきり
頭をぶつけてしまった。

「アイタタタ・・」

涙目に、なってしまう。

するとガウは宝物でも見つけたようにキラキラして、
私の方に近づくと、一言、言った。

「ティナ、ほしい。」


*


「なーに言ってんだ、エロ狼。」
「ロック!」

ティナに飛びつこうとしたガウの首を捕まえ、犬のように
ぶら下げて、ロックが部屋に入ってきた。

「大丈夫か?ティナ。・・・何やってんの?」

ロックがそう言うのも無理はない。
部屋中に散りばめられた色とりどりの画用紙。
赤、青、黄、緑・・・色の洪水のようだ。

「切り絵をしていたの。」
「切り絵?」
「うん。」

ティナはそう言うと、キレイな花の形の切り絵を広げて
見せてくれた。

「キレイでしょう?」

にっこり、する。
その笑顔は作り物の花なんぞよりもよっぽど
キレイで美しくて、思わず

「・・ああ、キレイだな。」

切り絵ではなくティナを見ながら俺は言ったのだが―――
そんな事に気づく様子もなく「そうでしょう?」と嬉しそうに
ティナは笑った。

「いつもいつも戦いの毎日だから、たまには
息抜きをしようと思って。」

ティナが、少しためらいながら話す。

「モブリスで、子供たちと一緒に切り絵をした事を
思い出したの。とってもキレイだったから忘れられなくて。」

なつかしそうな、ティナの瞳。

「リルムとガウを誘ってやってたんだけど、リルムは途中で
用事を頼まれちゃって。あ、でもリルムの切り絵は
さすがと言うか、すごいのよ。あの子は天才ね。」

嬉しそうにそう語るティナは、まるで母親のようだった。

―俺の知らない、ティナ。
―モブリスでの、ティナ。

ズキン、と胸が痛む。

「ロック?」

呼ばれて、慌てて笑顔を取り繕った。
別に、悲しむことでも何でもないじゃないか。
そう思った矢先、

「ティナ、やさしい。」

手の中で、小さな狼が暴れ始めた。

「ティナ、やさしい。」
「ティナ、キレイ。」
「ティナ、ほしい。」

・・・ブチッ。

「うるさい、ケモノ!」
ロックは思わず、ガウを怒鳴りつけてしまう。

俺のほうが百倍言いたくても言えないような事を、
あっさり言うな。

「ロック、放してあげて。ガウが可哀想だわ。」

オロオロしたようにティナが懇願する。
いつもならここで放してやる所だが、今日の俺には
ちょっと無理だった。

「ロック、いじわる。」
「ロック、きらい。」

狼は、放してもらえずにジタバタする。

そんな手の中のケモノを目線の高さまで持ってくると、
睨みつけて言った。

「ティナは、駄目だ。」
「なんで?」
「ティナは、――俺のだから。」
「え?」

ガウとは違う所から、声がする。

「だから、駄目だ。」
「ええー。」

残念そうに、ケモノがつぶやく。
大事な宝物を取られたみたいに。

「俺はトレジャーハンターだからな。
お宝は、必ず手に入れるんだ。」

そう言うと、ガウは納得したようにこう言った。

「そうか。ロックにとってもティナは宝物なんだな。」

顔から火が出そうになる。
なんて恐ろしいガキだ。

「―ああ、そうだよ。」

大人の意地で平静を装ってそう答えると、ガウは「そうか」
とだけ言って飛び降り、そのままどこかへ行ってしまった。


「・・ロック?」

訝しむような、ティナの視線。
俺は平静さを装い続けたまま、ティナを見ずに言った。

「これで大丈夫だろ。」
「え?」
「言っただろ、『ティナを守る』って・・。」

そう言うと、俺はティナの瞳をまっすぐに見た。

キラキラ光る、青い瞳。
ガウが欲しがった、輝く「宝」。

「ほっとくと、あいつ、ティナの瞳を引っこ抜くかも
しれないから。」
「ええ?」

俺の言葉に、ティナは笑う。

やわらかく、可愛らしく、可憐なティナに、
目の覚める思いだった。

白い肌。
華奢な体。
フワフワ甘い、砂糖菓子のような人。


「俺のもので、いてくれないか?」

ティナには聞こえないような小さな声で、ロックは
つぶやく。

俺のもので、いてほしい。
せめてガウの中でだけでも。

<あとがき>
長くなるのはも~諦めました!(←最低)

ロクティナにはありがちな、ティナが「宝」という話です(笑)
ほんとはもう一つ話があるんですけど、ありえない程長いので
こっちにしました。

ガウもかわいくて大好きです。
こんな役だけど、書けてよかった~。

読んで頂いて、本当にありがとうございました!

Title
「宝物」(ロック→ティナ) チョコ
Posted
2007/08/05
Category
ロクティナ・SS

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